過去に業界ぐるみで社会問題になった事件は幾つもあります。
その1つに消費者金融会社の金利の問題があります。しかし、問題になっている消費者金融会社が悪いのでしょうか。当時、私にはそうは思えませんでした。監督する国の責任だったのではないかと思っています。
消費者金融の金利の問題は、簡単に言ってしまうと、貸付金を利息制限法と出資法のどちらの枠で解釈するかの違いです。
お金を貸して利息として受け取るのならば、利息制限法の15%~20%が上限金利として適用されます。しかし、出資金として出資法に基づくのならば、出資法の29.2%が上限金利として適用されます。当時、この差は解釈の仕方次第でグレーゾーンと言われていました。
まあ、「彰かに出資金じゃないだろう」って個人的には思いますが、消費者金融会社は出資金として解釈し、29.2%の金利を受け取っていました。
時代的なものもありますし、上場会社ですので法律が許すのならば、株主のために利益を追求します。特に問題にはされていませんでした。
後にこれが違法とされ、過去に遡って過払い金として請求のあった場合には、返還するよう求められています。
しかし、これ隠れてやっていた訳ではなく、上場企業がきっちりと決算発表をし、納税してやっていました。国が白黒付けずに放置していたのです。
当時は、消費者金融とパチンコ業界が日本を支えているなどと揶揄されるほど、消費者金融会社は高額な税金を納付していました。
それを10年も20年も放っておいて、ある日、手の平を返して「違法でした。過去に遡って返金しなさい。」っておかしな話だと思います。
金利を生業にしている会社が、金利を20%に設定するのと29.2%に設定するのとでは、企業の競争力が段違いに違います。
こんなに長期に放置されたら、後に合法とされる20%でやっている企業には、色々と壊滅的な問題が起こります。
上場していれば株主総会でも吊し上げられるでしょう。圧倒的に不利な条件で競争するのですから、もし会社が倒産してしまえば、従業員やその家族を路頭に迷わす事にもなります。当時、経営陣に選択の余地は無かったように思います。
同様に、お菓子の業界大手の会社が、10年以上にわたって賞味期限を書き換えるだけで再出荷していたなどと言う事件もありました。これも真っ当にやっている競合他社にしてみれば、会社を潰すか自分もやるか選択を迫られる事件だったと思います。
別の記事で、営業マンの嘘を会社や上司が黙認しているケースの話を書き、この事件を思い出しました。
違法を黙認されたら、真っ当な営業で他の営業マンと同等の成績を上げる事は、すごく難しいというお話しです。
そういう会社で営業をしていた場合、遅かれ早かれ問題になる可能性も高いと思います。社長が代わったり、社会問題になったり、内部告発があったり、顧客が裁判に訴えたり、きっかけはいくらでもあります。
消費者金融の経営陣に逃げ場は無かったように思いますが、一社員ならば転職という逃げ場はあります。
世の中は綺麗事だけではありません。多少のずるさや汚さに順応する必要はあると思います。しかし、その環境が一生続くと考えた時に、堪えられないと思うのであれば転職も視野に入れるべきだと思います。ずるい営業や汚い営業を身に付けてしまったら、なかなかそういう営業から抜け出す事は出来なくなるように思います。
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因みに、私の主観ですが、業界上位の企業ほどコンプライアンス(法令を守る気持ち)はしっかりしていますがノルマはきつく、下にいけばノルマは多少楽になりますがコンプライアンスも緩くなります。
コンプライアンスのルールの厳しい中で営業をしていると、時に「このコンプライアンスのルールが緩ければ楽なのに。」と思う事があります。しかし、本当にそのコンプライアンスのルールが緩ければ、そのルールで勧めたいお客様だけでなく、そのルールで勧められるお客様すべてが営業対象になってノルマが決まって来るので、結局、楽にはなりません。モノによってはストレスが嵩むだけです。
例えば、「高齢者にアプローチしてはいけない」というルールがあったとして、「このルールが無ければ」と思う時には、元気な高齢者を思い浮かべていると思います。しかし、本当にそのルールが無ければ、アプローチ対象として元気でない高齢者も入ってノルマが決まって来ます。