次ページ ② クレーマー、トラブル客、面倒なお客様が来てしまった時の対応
王道テーマの1つ、クレーマー対応です。今回は、クレーマーを来させないためのお話しで、次回は、クレーマーやトラブル客、癖の強いお客様への対応のお話しです。
目次
ゴネるお客様をクレーマーに育ててはいけません
当たり前の話ですが、お客様は嘘を付きます。もちろん、嘘を付かない誠実なお客様も大勢いらっしゃいますが、基本的には、お客様は嘘を付くものだと思っていますし、そこは笑って許してあげるつもりで対応します。
しかし、それは、いつも気が付かない振りをするのではなく、時には「バレていますよ」とわからせてやる必要があります。嫌味な言い方にならないように、細心の注意を払って。
お客様も悪気があって嘘を付く訳ではなく、何かの交渉の過程で「わかるはずがない」事や、「怪しくても証拠がないだろう」と思える事は、つい、交渉を有利にするために嘘を付いてしまうのです。
その時に、「証拠がないから」と何も言い返さなかったり、「お客様だから丁重に」などと下手に出ているだけだと、最初、お客様にその気がなかったとしても、嵩にかかって攻めてくる事に成りかねません。
そうなってからでは、お客様も引くに引けませんし、こちらも延々とお客様の嘘に付き合う事に成りかねません。
そういう対応を「粘り強く対応し、お客様にわかって頂いた」などと、美談のように紹介するケースがありますが、私には「正気の沙汰か」と思えます。5分で済む話に、1時間も2時間も付き合いましたというお話です。
人間も年を重ねると、自分の交渉パターンをいくつか持つようになります。あまり上策とは言えませんが、よくあるパターンが、「取り敢えずカマしてみる」「横車を押してみる」「ゴネてみる」などです。
「それがそのまま通る」と思っている方も、たまにいらっしゃいますが、普通はこちらの出方を伺って来ます。
「それが通るかも知れない」などと微塵も思わせてはいけません。お客様もその路線で、一言言葉を重ねる度に引くに引けなくなっていきます。お互いに不幸になるだけです。入口できっちりとシャットアウトしてあげましょう。
クレーマーではなく、「取り敢えずカマしてみる」「横車を押してみる」「ゴネてみる」というお客様は大勢いらっしゃいます。彼らをクレーマーに育ててはいけません。
クレーマーを呼び寄せてはいけません
最初から押し切るつもりで横車を押して来る客がいます。クレーマーという奴らです。
時々、「その理屈でどうしてそこまでゴネられるんだ?!」と思える強者もいますが、大抵は、こちらの理屈が通っていて、隙なく対応すれば、暫くゴネた後、諦めて帰っていきます。
因みに、こちらが誤って失言をしてしまった場合、当然相手はそこを付いて来ますが、「それはそれ」できっちり分別して他の話に波及させてはいけません。
ゴネる人は、自分が不利になる度にその話を持ち出しては、不利な話をリセットしようとして来ますが、その話は「済んだ話」として拡げてはいけません。
諦めて帰ってくれるクレーマーも、こちらが下手に出て、いけると思わせてしまったらすごく頑張っちゃいます。もうホントに意気揚々と。頭の中に進軍ラッパでも鳴ってるんでしょうか?
お客様の無理難題を、出来るだけ聞いてあげようなどという営業をしていると、無理難題を聞いて欲しい客が集まって来ます。それはそうですよね。気持ち良く対応してくれるんですから。
複数の業者がいる中で、無理難題を通したい客は、無理難題に気持ち良く対応してくれる担当者に集結して来るのです。
クレーマーや面倒な客に好かれる営業をして、彼らを呼び寄せてはいけません。クレーマーを作らない、好かれない、呼び寄せない事が、一番のクレーマー対策です。
更には、上司に「面倒な客に慣れている」などという印象を持たれてしまうと、担当者変えの時に、そういう客をわざわざ割り振られる可能性もあります。そうなってしまったら、人と同じ成果を上げるのに何時間も余分に掛かるようになります。
カッコいい社会人の大先輩になりたい
社会人に成り立ての頃、お客様は、お客様でもありますが、どこか社会人としての大先輩という気持ちも持っていました。
そして、営業をしていると、とても紳士的とは言えないお客様にも数多く出会います。
社会人の大先輩が繰り出す交渉テクニックが、「横車を押してみる」とか「取り敢えずゴネてみる」であった時、最初の頃は、「面倒臭い」とか「腹立たしい」という気持ちよりも、素直にビックリしました。
「いい大人がこんな子供みたいな事を言うの?」って。
中年やお爺さんになるまでには、社会人になってから、20年30年、40年50年の時があります。
自分の将来像でもある社会人の大先輩が、20年30年かけて身に付けた処世術が「横車を押してみる」とか「取り敢えずゴネてみる」というものであった時、「面倒臭い」とか「腹立たしい」という現実的な感情の他に、何処か俯瞰した感じで「悲しい」とか「やるせない」という気持ちも沸いてきます。
そして、逆に、こんな年の取り方をしたいと思えるような、紳士的な方々にも数多く出会えます。彼らは、穏やかに、時に力強く、そして鮮やかに自分の欲しいものを交渉で勝ち取っていきます。
幸い、営業マンはこの前者とも後者とも数多く出会い、商談する機会があります。前者が周りから見て、如何にみっともない姿か知っており、何より後者の交渉テクニックを学ぶ機会が何度もあります。
これは、営業職に与えられた大きな特権だと思っています。
-
② クレーマー、トラブル客、面倒なお客様が来てしまった時の対応
クレーマー対応の入り口は、クレーマーとトラブル客や癖の強いだけのお客様を見分ける事です。クレーマーとは関係を切りにいきますが、トラブル客や癖の強いだけのお客様とは関係を切ってはいけません。